ケヴィン・ウィリアムスン来日記者会見採録


[→ケヴィン・ウィリアムスン監督)以下監督]
(客席にカメラを向け)まず、写真を一枚撮らせてください。母に見せたいものですから。 私はノースカロライナの小さな町で育ち、日本に来るなんて少年の頃は夢のまた夢でした。父が漁師で、漁船で海にでたことしかないくらいでしたから。『鬼教師ミセス・ティングル』は私が初めて書いた脚本で、”書くことができるのだ”と証明できた作品です。本作は、名前は違いますが実際私の高校時代にいた本当の<ミセス・ティングル>をモデルにしました。彼女は、私が絶対脚本家になれないと断言し、その言葉が当時の私の夢や希望をすべて殺してしまい、本当に不安になって私は書けなくなっていました。この作品はその国語の先生へのリベンジでもありますが、今となっては感謝しています。

■監督の高校時代はどのような生徒でしたか?またどうやって<ミセス・ティングル>には会ったのですか?
[→監督] あまり素晴らしくもなく、惨めな普通の高校時代でした。そんな、ひどい時代でも結構楽しい時間もありましたが(笑)。 私の<ミセス・ティングル>は高校の国語の教師でした。彼女はもう亡くなっており、その死体はまだ発見されてません(笑)。本当は10年くらい前に老衰で亡くなりました。

■脚本家としてまた監督として頑張られてきたわけですが、モチベーションを教えてください。また、一番最初に書いたセリフを教えてください。そのあと『スクリーム』を経て映画になるまでに個々に加えたり変更したりしたことについて教えてください。
[→監督] その当時私は、ロスに出てきたばかりの30歳まじかのキャリアも収入もないただの田舎者でした。そんな時、ある監督のアシスタントをやっていて、“どうせ失敗するなら何かをやってみてからだ!“と思えるようになりました。それが原動力となったと思います。 『スクリーム』『スクリーム2』『ラストサマー』『ドーソンズ・クリーク』を経て4年の歳月が経っていたので、自分の経験も含めいろいろと書き換えました。今改めて見ると何度も書き換えをしているので何が最初だったのかを判別するのは非常に難しいと思います。 ある場面では、銃を用いて弓はなかった、という具合に、新しいものが入ったり古いものを排除してみたりしました。その中でもちろんタイトルが一番変わりました。(笑) 最初タイトルは『キリング・ミセス・ティングル(Killing Mrs.Tingle)』でした。 実際には最後に生徒たちが彼女をクビにしてしまい、彼女が唯一誇りに思っている教職という職を去らねばならないということは、ある意味彼女にとって殺人に近い死の宣告です。比喩的な意味の“Killing”だったのですが、ちょうどアメリカで高校生の銃乱射事件があり非常に状況としては好くないということと、“Killing”という言葉が出ていると『スクリーム』の脚本家ということでホラー映画ではないかと思われる可能性があるのではないかということでタイトルを変えました。

■ヘレン・ミレンを起用したきっかけは何ですか?
[→監督] 私はヘレン・ミレンが大好きです。ヘレン・ミレンという女優はタフで、ソフトで、すごくセクシーでいろんな要素を持っている女優です。今回の役に起用する女優はあまり10代の若者に知られていない顔、というのが基準でした。ヘレン・ミレンはアメリカの10代の若者にはあまり知られていませんでした。今回いろんな女優にオーディションを受けてもらいましたが、常に私がヘレン・ミレンのような女優がいいと言っていたら、最終的に(製作会社の)ミラマックス社がヘレン・ミレンにオファーしてくれました。

■オファーしたときのヘレン・ミレンの反応はいかがでしたか?
[→監督] あのヘレン・ミレンですから、私は会う前はとても脅えていました(笑)。そして、まずヘレンがこの役を引き受けてくれるとは思いもしませんでした。実際会ってみると、人々が予測していない幅広い役に挑戦するのが好きな女優だとわかりました。若い世代の人と仕事をしたことがあまりなかったようで、若手との仕事をやりたがっていました。また<ミセス・ティングル>という人物にとても興味を示してくれました。憎しみや怒りを持ち、辛辣な言葉で若者の夢や希望をどんどん壊していくような悪役を演じてくれました。そして二人で彼女がどういう過去を持った人間か話し合い、役作りにも情熱的に参加してくれました。

■ケイティ・ホームズの魅力を教えて下さい。
[→監督] ケイティとのつきあいは長く、今回9ヶ月間、私の家で本当に一緒に生活していました。彼女は、知的で面白く、そして可愛いらしく、全然すれていません。オハイオ州の小さな町出身でなぜかスターになってしまったというような、変わらぬ魅力を持った人でです。 本当にオハイオ州から出てきたままの人で、私にとっては妹のような存在で大好きです。彼女のためなら何でもしてあげたい、というぐらいステキな女の子です。

■若手スターを見つけるコツはありますか?
[→監督] 私がオーディションをして選ぶ時は、彼らがスクリーンの中でスターになれるかということよりも、本当に実生活の中でどれだけいい人か、どれだけスターか人気者かというふうに考えます。その人と一緒にいたいか、食事をしたいかというふうに考えます。例えばその人が道路工事とか他の仕事をしていてもその中で一番いいベストな道路工事の人になるか、どんな状況にいてもスターになれるような素質を持った人を選びます。

■とりわけ思い入れのある場面、台詞、キャスティングがあれば教えてください。『スパイ大作戦』でレギュラー出演していたレスリー・アン・ウォーレンについてはどうですか。
[→監督] 初監督ということで自分が思っていた以上に映画を創るというプロセスが上手くできたと思います。一番自分が満足している部分は、役者の演技の部分です。自分の演技の経験(NYで役者として舞台にでていた)が大変手助けになったと思います。役者たちは素晴らしかったと誇りを持って言える作品になっています。ヘレン・ミレンが出ていたので私の仕事はとてもスムーズに進みましたしね。 私が一番気に入っているシーンは、ミセス・ティングルとリー・アンの二人が向き合うシーンです。「あなたのことはよくわかるわ」という長い台詞のところです。あとジョー・リンの『エクソシスト』のシーンも気に入っています。 レスリー・アンは私の母にとても似ています。名前も私の母と同じ名前、フェイにしました。昔『シンデレラ』の役をやっていて、彼女のファンでした。

■手掛けた脚本の中で、自分に一番近いキャラクターはどれになりますか?
[→監督] 難しいですね。例えば『スクリーム』の全員が私に少しずつ似ています。ほとんどのキャラクターに少しずつ自分が出ていると思います。今回の作品だけに限って言えば、小説家になりたいという夢が壊れそうになっても、希望を持って立ち向かうリー・アンが自分に一番似ていると思います。『ドーソンズ・クリーク』に関しては、何でも分析してしまうジョーイはよく似ています。この質問がとても難しいというのは、全て自分がベースになっているからです。

■ティーンエイジャーにこだわる理由はありますか?
[→監督] 僕は未だに子供ですが、ティーンエイジャーを描くのが実は一番難しいと思います。ティーンエイジャーはとても傷つきやすく、この時期は自分探しの時期でもあるでしょう。ある哲学者によると“人間は25歳くらいまでに人間がだいたい形成される”のだそうです。それ以降はあまり変化せず、逆にその前の時期はどんどん変わっていくと言えるのでしょう。そういった変化の多い時期を描くことにとても興味があります。 この時期はいろんな発見があり、将来に対する不安や恐怖といったようなものを持っていてバランスを保てない状態でもあります。そのようにいろいろ悩んで不安な時期にナイフを持った殺人鬼が襲ってきたら大変な状態になるでしょう?ブラックコメディとしてはティーンエイジャーを扱ったテーマが一番楽しいシチュエーションだと思います。

■監督の作品というのは、海外ドラマの『ドーソンズ・クリーク』にしても『スクリーム』シリーズにしても若い人の心を掴んでいます。それはどうしてだと思いますか? また、具体的に若い人たちにインタビューをしたりするのでしょうか?
[→監督]やはり人間の気持ちというのは、どの年代でも同じだと思います。例えば、“愛されたい”とか“愛したい”という人間の本質的な感情や、現実的な不安や恐怖は、ホラー、ラブストーリー、アクションといったジャンルにかかわらず用いられています。 若者は初めて体験することが多く、好奇心が旺盛なので、彼らの気持ちをより際立たせるように描いています。リサーチの面ですが、『スクリーム2』の時は大学に行って人と話したり、キャンパスをいろいろとリサーチしたりということもありました。また、『パラサイト』の時は、昔通っていたハイスクールに行きましたが、基本的には10代の若者からインタビューをとるとか話をするということはしませんでした。だいたい10代の若者が一番嫌うのは、大人の作り上げた大人の目で見た若者です。私はただ知的で非常に面白くて洗練された15歳を描いて、それが若者に支持されただけです。

■監督はホラー映画の脚本家というイメージが強いと思いますが、インスパイアされたホラー映画は何ですか?
[→監督] 最も影響を受けた作品はジョー・カーペンター監督の『ハロウィン』です。もう一本挙げるならスピルバーグ監督の『ジョーズ』です。

■『エクソシスト』はいかがですか?
[→監督] 大好きです!<ミセス・ティングル>がまさに悪魔でこの作品はオマージュとも言えます。

■モリー・リングウォルドを起用した理由と、モリーといえば10数年前にティーンエイジャーのスターということでジョン・ヒューズ監督などの映画で活躍していましたが、ジョン・ヒューズはある時期からティーンエイジャーのストーリーを書かなくなりました。監督は今後ティーンエイジャーの物語は書かなくてもう少し大人の映画を書く予定はありますか?
[→監督] ティーンエイジャーの映画を卒業したかはまだわかりませんが、ヒューズ監督はご存知のようにティーンエイジドラマを離れてずっとお子様映画みたいな『ホーム・アローン』とか『カーリー・スー』で成功されています。私は卒業ではないけれどティーンエイジのジャンルから少し離れて、先程申し上げたような映画を撮りながら、また青春映画を撮ると思います。それとは別にホラー三部作も展開しようと思っています。モリーについては、もちろん意識的なキャスティングです。モリーがでていたジョン・ヒューズの映画はとても大好きでした。彼女のファンでもありました。昔彼女がやっていたような生徒を、今度は彼女が教える立場の役になったら面白いのではないかというアイデアからあのシーンが生まれました。

■サム・ライミ監督、ウェス・クレイヴン監督といったいわゆるホラー監督と言われていた監督がヒューマンドラマ的作品を撮りはじめていますが、“人間の根底には愛したい愛されたいという考えがある”とおっしゃる監督もいずれそういう映画を撮られるのですか?
[→監督] 私はホラー映画の監督とか脚本家になるつもりはありませんでした。たまたまそうなっただけです。『スクリーム』を書き終えた後、ウェス・クレイヴンに言われたのは「もう二度とホラー映画を書かない方がいい」ということでしたが、私は聞きませんでした(笑)。でも『スクリーム』は単なるホラー映画だとは思いません。当然何か他のものもあると思います。 『ラストサマー』などはホラー映画と言っていいのですが、『ドーソンズ・クリーク』は青春ドラマです。今、準備しているのはロマンチック・コメディで数ヶ月後に作成する予定です。皆様が思っているような普通のロマンチック・コメディではなく、『スクリーム』のように少しひねったラブ・コメです。その次にはアクション映画を撮り、またラブストーリー、そしてその後にまたアイデアが浮かんできたのでホラー映画を撮る予定です。

*2月17日(木) 18:00〜 (徳間ホール)にて